ビルド時間の短縮はもとよりコンバート時間も従来の1/5に開発効率の向上、
トライアルアンドエラーに必要な時間を創出
ゲーム開発は時間との闘いでもある。ゲーム業界をリードするバンダイナムコゲームスでは、開発効率の向上を目的にアプリケーションライフサイクルマネージメントや新たな開発手法への取り組みを進めている。その効果を高める上でもビルド時間の短縮は欠かせない。同社では分散処理技術でビルドの高速化を図るべく IncrediBuildを活用。ネットワークを利用してプロジェクトの枠を超え、リモートPCをつなぐことでプロジェクトの規模に関わらずビルドの高速化を実現。当初60台のリモートPCも現在は130台に。「コンバート時間も従来の1/5に短縮」という計測結果をもとにさらなる活用拡大を推進している。
目次
株式会社バンダイナムコゲームス
開発スタジオ
アドバンステクノロジ ディビジョン
ネットワークシステム部 システム開発3課
アシスタントマネージャー
若林 明子 氏
開発スタジオ
アドバンステクノロジ ディビジョン
ネットワークシステム部 システム開発3課
川下 信康 氏

ゲーム開発は常に時間との闘い
2005年、エンターテインメント界の歴史に新たな1ページが開かれた。世界でのさらなる飛躍を目指し、半世紀以上に渡って業界を牽引してきた、おもちゃのバンダイとゲームのナムコが経営統合を実現。その中で、バンダイとナムコのゲーム部門も1つになり、バンダイナムコゲームスが誕生した。
ミッションは「遊びを通じて世界中の人々に感動と豊かな時間を提供する」こと。同社では、市場の変化に応えるコンテンツの創出や展開の強化はもとより、コンテンツの活用形態が多様化する状況にスピーディかつ柔軟に対応できる体制づくりに力を入れている。また、海外のニーズへの対応も積極的だ。
技術革新のスピードが速いゲームの世界。その対応が遅れるほどビジネスチャンスは縮小する。新技術の研究にいち早く取り組み、リリースのタイミングを外さないことはナムコ時代からの同社の強みの1つである。
2010年10月、PlayStation® Move対応のガンゲーム「BIG3 GUN SHOOTING」を発売、2010年11月、Xbox 360 の新入力装置Kinect(キネクト)の機能を生かした、新感覚の「体で答える新しい脳トレ」を発売。いずれも新型機の日本発売と同時にタイトルをリリースした。
ゲーム開発は常に時間との闘いでもある。開発現場の開発効率改善に関するサポート業務を行っているのが、アドバンステクノロジ ディビジョン ネットワークシステム部 システム開発3課若林明子氏のチームだ。「主な業務は、プロジェクトマネージメントをシステム面からサポートすることです。現在、ゲーム開発の上流から下流にわたるすべての要件、工程、成果物などを一元管理するアプリケーションライフサイクルマネージメントの実現に取り組んでいますが、ゲーム開発に欠かせないビルドに要する時間の短縮は大きな課題です。この課題の解決には分散処理技術によるビルドの高速化が必要だと考えています」(若林氏)
コストを抑制しつつ分散処理技術の活用を実現
ビルドの高速化を実現するツールの選択ポイントとなったのは、分散処理を実行するリモートPC側の環境には極力、手を加えないということだった。「IncrediBuildは、リモートPC側にIncrediBuild以外のアプリケーションをインストールする必要がなく、リモートPCごとの設定、変更も不要です。他社ツールのほとんどは、ビルド起動したマシンの環境をプレインストールする必要がありました。導入コスト、運用管理コストを抑えつつ、分散処理の利点を引き出せるという点で当社のニーズに合っていました」と、若林氏は採用の理由を語る。
同社では現場が主体的にツールを導入することも多く、このときすでに複数のプロジェクトでIncrediBuildは活用されていた。その結果、使用しているPCの台数が多い大規模なプロジェクトでは効果がでていたが、PCの台数が少ない小規模なプロジェクトでは期待される効果があらわれていなかった。若林氏は、IncrediBuild を利用しているプロジェクトに対し、全てのPCを1つのビルドグループにすることによりパフォーマンスの向上が図れることを説明してまわったという。同時に、今後IncrediBuildを社内に広めていくための課題をつぶすテストへの参加を要請し、もう1社のツールと合わせて検証が行われた。
「使用するCPUのコアの最大数は両社とも設定できるのですが、最大数を設定しても、IncrediBuildは必要なコア数しか利用しないのに対し、他社は最大数すべてを使ってしまうという難点がありました。また、IncrediBuildは依存しているファイルやライブラリを自動的に判断して処理してくれるので簡単に使うことができるのですが、他社はすべて見つけ出して設定ファイルに記述しておかなければなりません。見つけ出せないケースもあって、結局、そのツールでは分散処理ができないということもありました」(若林氏)
100分を要するコンバート処理が1/5の20分で完了
「現在、Xbox 360向けゲーム開発と社内用PCアプリケーション開発でIncrediBuildを利用しています。2年前の導入当時、リモートPCの数は60台、いまは130台を超えています」と、若林チームの川下信康氏は語る。システム構成はCoordinatorと呼ばれるサーバーをLAN環境に導入、分散処理を行うPCにIncrediBuild Agentを導入するだけ。各PCのWindowsのバージョンやシステム構成は統一されている必要はなく、マルチコアのPCであればコア数だけ分散処理が可能になるという点もメリットだ。
同社ではIncrediBuildを活用し、リモートPCをネットワークでつなぐことによりプロジェクトの規模に関わらずビルドの高速化を実現することができた。ビルドなどコンピュータ処理の待ち時間は開発者にとって他の作業が何もできない無駄な時間となる。今後、コンバートにおける分散処理の活用も重視していきたいという。「ゲーム開発でも修正は付き物です。修正してチェックする際、実機で動かしてみるまでのタイムラグが何分あるか。その点が生産性を大きく左右します。コンバートをかけないとチェックできない場合、コンバートに要する時間によって1日にできるトライアルアンドエラー(trial and error)の回数が決まってしまいます」(若林氏)
同チームでは、ビルドとともにコンバートについてもIncrediBuildの活用を広げるべく、社内啓蒙用のプレゼンテーション資料を作成。そのなかで、通常100分を要するコンバート処理が、IncrediBuildを活用した場合、XML形式、20コアで1/5の20分で完了したという計測結果を発表している。
ビルドやコンバートへの活用拡大を視野に環境を整備
今後の展開について若林氏は次のように話す。「現在、弊社では、開発スピードの向上を図るためにスクラム開発も試し始めています。その際、フィーチャーをインプリメントするために必要なビルド時間の短縮は重要なポイントになります。また、ライフサイクルマネージメントにおいても、“修正しビルドを行ってチェックする”というサイクルを早くまわすことができなければ効果をあげることはできません。今後、ビルドやコンバートへの活用拡大を視野にIncrediBuildやハードウェアの増強も含め、分散処理環境の整備も推進していきます」
同社では本社をバンダイナムコ未来研究所と名付けている。そこには未来の人々に新しい遊びを提供していくという決意が込められていた。IncrediBuildはこれからも同社のゲームづくりに対する情熱をサポートしていく。

株式会社バンダイナムコゲームス様 概要(2011年4月1日現在)
所在地 東京都品川区東品川4-5-15 バンダイナムコ未来研究所
創業 1955年6月1日※
資本金 150億円
従業員 1,900名
事業内容 バンダイナムコグループにおけるコンテンツの創出から販売までを担う「コンテンツ戦略ビジネスユニット」の主幹会社
URL http://www.bandainamcogames.co.jp/
※株式会社バンダイナムコゲームスの前身である旧株式会社ナムコの創業年月日です。
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